【Topics】令和5年4月からの主な法改正のお知らせ
投稿日:2023.03.06
まだまだ朝晩冷えることがありますが、日中は過ごしやすい気候になることも多く、
春の訪れを感じやすくなってくる頃です。
「春」といえば、入学・就職・転居などライフステージの変化を迎える方が多いと思いますが、
労務管理の現場においても、春は様々な制度・法律に変化が訪れる季節です。
今回は、令和5年度に予定されている法改正についてお伝えします。
月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げ
令和5年4月1日施行予定の改正労働基準法では、
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、大企業・中小企業問わず一律「50%」となります。
大企業は平成22年より既に50%になっていましたが、中小企業についてはその措置が猶予されていたため、
60時間を超える時間外労働についても25%の割増賃金を支払えばよいとされていました。
それが、4月以降は中小企業も60時間を超える時間外労働について、50%の割増賃金を払わなければいけません。
月60時間を超えない時間外労働に対しては、これまで通り25%の割増賃金の支払いをすることで足ります。
デジタルマネーによる賃金の支払いが解禁
令和5年4月1日より、デジタルマネーによる賃金の支払いも解禁されます。
賃金の支払いについては、
(1)通貨(現金)で (2)直接 (3)全額 (4)毎月1回以上 (5)一定の期日を定めて 支払わなければいけないと定められています。(給与支払の五原則)
(2)について、手渡しで支払うことが原則とされていますが、例外的に労働者の同意を得た場合に限り銀行口座等への振り込みも認められています。
(現実的には、銀行口座等への振り込みの場合がほとんどです)
4月1日より、①直接手渡し ②銀行口座・証券総合口座への振り込み に加え、
③一定の要件を満たした場合に限り、デジタルマネー(●●Payなど)による支払い も可能となります。
育児休業取得状況の公表の義務化
令和5年4月1日施行予定の改正育児・介護休業法により、
男性労働者の育児休業の取得状況の公表が義務付けられる企業の範囲が拡大されます。
これまでは「プラチナくるみん認定」を受けている企業のみ公表が義務付けられていましたが、
4月からは常時雇用する労働者の数が1,000人を超える企業については、毎年1回以上育児休業の取得状況を公表することが
義務付けられることになります。
【公表内容】次の①または②のいずれか割合
もちろん、1,000人を超えない企業について公表を妨げるものではありません。
義務付けられていない企業については、助成金の申請要件を満たす場合加算がつくなどメリットもあります。
公表の際には、自社ホームページ等での公表のほかに、
厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表することをオススメします。
個人情報保護法の改正
これまで個人情報の扱いについては、民間企業と行政機関等で異なる法律等が制定され適用されていました。
民間企業:個人情報保護法
国の行政機関:行政機関個人情報保護法
独立行政法人等:独立行政法人等個人情報保護法
地方公共団体等:地方公共団体ごとに定める個人情報保護条例
令和5年4月1日施行予定の改正個人情報保護法により、
これまで独自に制定した個人情報の取扱いについて全国的なルールが定められ、
「個人情報保護委員会」が一元的に制度を所管することになり、個人情報の保護に関する質の確保などが期待されています。
その他にも、
消費者契約法や食品表示基準の改正など、生活に密着した改正も多くありますので、
詳しくは該当省庁HPなどをご覧ください。
割増賃金の支払いに関する制度の内容・規程の見直しなどは、当法人担当までお気軽にお寄せください。
<関連リンク>
「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」
「2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要です」
(厚労省パンフレット)