【手続きの現場から】従業員の出産・育児休業に伴う社会保険・雇用保険の手続
投稿日:2022.06.22
令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に施行されています。
今回は、改正内容とともに出産・育児休業に伴う社会保険・雇用保険の手続きについてご紹介します。
育児休業中の経済的支援
育児休業中・産後パパ育休中は、さまざまな経済的支援制度があります。
●健康保険料・厚生年金保険料:産前産後休業中、育児休業中、産後パパ育休中は、申出により支払いが免除されます。
●雇用保険料:産前産後休業中、育児休業中、産後パパ育休中に勤務先から給与が支給されない場合は、保険料の負担はありません。
●所得税及び復興特別所得税:育児休業給付は非課税のため、この給付からは差し引かれません。
●住民税:住民税は前年の収入により税額が決定されますので、育児休業中、産後パパ育休中も支払う必要があります。ただし、育児休業給付は非課税のため、次年度の住民税を決定する上の収入には算定されません。
●財形非課税貯蓄:3歳までの子について長期の育児休業等を取得する場合、所定の手続きにより、引き続き利子等に対する非課税措置を受けることができます。
●出産育児一時金:健康保険の加入者が出産したとき、1児につき最大42万円が支給されます。
●出産手当金:産前産後休業の期間中、健康保険から1日につき原則として賃金の3分の2相当額が支給されます。(※要件あり。詳しくは協会けんぽ、健康保険組合等へ)
●育児休業給付金・出生時育児休業給付金:1歳未満(最長で2歳未満)の子を養育するための育児休業を行う場合に、休業開始時賃金月額の67%(支給日数の合計が181日以降は50%)が育児休業給付金として支給されます。同様に、産後パパ育休の場合は出生時育児休業給付金として支給されます。
(※産後パパ育休については、令和4年10月1日以降開始の育児休業について適応。)
育児休業給付金の支給
1歳(両親が取得する場合は1歳2か月。保育所に入所できないなどの場合は最長2歳)に満たない子を養育するために育児休業する雇用保険の被保険者で、育児休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある方が支給対象者となります。
また、1ヶ月ごとに休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと・休業中に就業した日数が10日以下(または80時間以下)であることも満たす場合に支給されます。
・手続き
被保険者が育児休業を開始したときは、その被保険者を雇用している事業主が初回の支給申請を行う日までに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を管轄のハローワークに提出する必要があります。
また初回の申請には、「育児休業給付受給資格確認票」「(初回)育児休業給付金支給申請書」や賃金台帳、母子手帳などが必要です。
原則として事業主を経由して申請を行いますが、被保険者本人が希望する場合は本人が申請手続きを行うことも可能です。
産前産後休業・育児休業期間中の社会保険料の免除
事業主が、年金事務所または健康保険組合に申出することによって、産前産後休業・育児休業等をしている間の社会保険料が、被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除される制度です。
・手続き
健康保険・厚生年金においては、事業主が「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」または「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を年金事務所または健康保険組合に提出します。
国民年金においては、被保険者が「国民年金被保険者関係届書」を市区町村に提出します。
令和4年10月から社会保険料免除要件が見直されます!
育児休業期間中の保険料免除制度で、保険料を徴収しない期間は「育児休業開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで」とされています。
つまり現行では、育児休業の取得期間の長さではなく、月末時点で育児休業を取得している場合に当月の保険料が免除される制度になっています。
これが10月から以下のように見直されます。
◆見直しの概要
①同月内に14日以上の育児休業を取得した場合は、当該月の保険料を免除!
②賞与に係る保険料については、1月に超える(暦日で計算)育児休業を取得している限り免除!
③連続する二以上の育児休業を取得する場合は、1つの育児休業とみなして免除の規定を適用!
令和4年10月からは、「産後パパ育休の創設」や「育児休業の分割取得」など大きな改正も控えています。
順次HPにも情報をUPしていきますので、ご活用ください。
その他、就業規則の改定や手続きに関すること、育児・介護休業法に関するお問い合わせは
お気軽に当法人担当または下記お問い合わせまでお寄せください。
<関連リンク>(日本年金機構HP)
育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます