【監督指導による賃金不払残業の是正結果公表】適切な労働時間管理できていますか。【監督指導による賃金不払残業の是正結果公表】
適切な労働時間管理できていますか。
投稿日:2021.09.29
監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)が公表されました。
9月22日、厚生労働省は、労働基準監督署が監督指導を行った結果、令和2年度(令和2年4月から令和3年3月まで)に、不払だった割増賃金が支払われたもののうち、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を公表しました。
【令和2年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】
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是正企業数 1,062企業(前年度比549企業の減) うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、112企業(前年度比49企業の減)
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対象労働者数 6万5,395人(同1万3,322人の減)
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支払われた割増賃金合計額 69億8,614万円(同28億5,454万円の減)
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支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり658万円、労働者1人当たり11万円
賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることをいい、労働基準法違反となります。法定時間外労働に対する割増賃金の支払は労働基準法第37条でにより定められています。
また、2020年4月の民法改正を受け、残業代請求権の消滅時効が2年から3年に延長されました。 (施行日の2020年4月1日に支払われる賃金から適用され、実際に2年を超えてさかのぼって請求できるのは2022年4月からとなります。)
これにより、来年4月からは未払い残業代を労働者がまとめて請求する場合には、今まで以上の残業代を請求できるようになります。
適切な労働時間管理はできていますか?
このような事態を避けるためには、当然のことながら、毎月適切に賃金を支払うことが肝要です。賃金の支払いの根拠となる、賃金規程・雇用契約書の整備はもちろん、労働時間の管理は使用者、人事・労務担当者にとってますます重要になっています。
労働時間の把握は、2019年労働安全衛生法の改正により、明確に使用者の義務と位置付けられています。
<参考>労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)
ガイドラインによると、労働時間の把握には、客観的な方法を用いることが推奨されており、自己申告制についても正しく記録できるよう措置を講じることが求められています。
労働時間管理には、一般的に「タイムカード」「Excelによるテンプレート」「勤怠管理システム」などが利用されていますが、帳簿の保存や、自己申告の勤怠管理、始業・終業時間以外の労働時間の管理を一括で行うには、Excelやタイムカードでは難しく、ましてや使用者が労働者全員の始業・終業を毎日自身で確認することも、中規模以上の事業所では難しいでしょう。
そこで、ガイドラインが求める労働時間管理をすべて満たすために、勤怠管理システムの利用をお勧めします。勤怠管理システムを使えば、担当者の業務負担やコストを削減することが可能です。
最近では、必要に応じて様々な勤務形態に対応できる、勤怠管理システムを導入する企業が増えており、フクシマ社労士法人でも、複数の勤怠システムから、お客様の事業所の事情に合わせた勤怠システムをご提案しています。