【実は身近なSDGs】SDGs週間(2021年9月17日~9月26日)期間中です
投稿日:2021.09.24
毎年9月末の国連総会の会期と合わせた約1週間は、持続可能な開発目標(SDGs)の推進と達成に向けて意識を高め、行動を喚起する「SDGs週間(グローバル・ゴールズ・ウィーク)」です。
SDGs週間は、国連総会関連の行事の統一テーマをSDGsにするために、2016年、Project Everyone、国連開発計画(UNDP)、国連財団(UNF)らによって発足しました。
「SDGs」とは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。
2015年9月25日~27日、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげたものです。この目標が、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。
以来、各企業においてもSDGsへの取り組みが求められているのは、皆様ご承知のとおりです。
広島県も、平成30年に内閣総理大臣から「SDGs未来都市」として選定されおり、地元企業によるSDGsビジネスの魅力的な取組を取りまとめ、広く紹介する事例集を制作するなど、SDGsビジネスの推進につなげていくことを目指しています。そのほか、補助金や講師を学校へ派遣する制度様々な施策が実施されています。
<関連リンク> 広島県 SDGs(持続可能な開発目標)と平和
しかし、スタートから5年以上経過し、産業界や教育界を中心に広く知られるようになってきた現在も、中小企業においては、広く取り組まれているとは言えない状況にあるといわれています。
なぜSDGs経営に取り組むべきなのか、どんな事から始めればよいのか、経営にSDGsを取り入れることでどのような利点があるのか。
今後SDGs経営に取り組もうとする中小企業にとって参考になるサイトなどからご紹介します。
中小機構近畿本部 企画調整課「中小企業のためのSDGs活用ガイドブック」
SDG Compass(SDGs の企業行動指針)—SDGs を企業はどう活用するか—
SDGsのメリット
- 資金調達の選択肢が増える
SDGsへの取組みが、世界中の企業で行われているのは、「ESG」(=「Environment Social Governance(環境・社会・ガバナンス)」の略で、企業の長期的な成長に必要な要素とされています)が関係しているためです。もともとは、2006年に国連が投資家に対して、企業へ投資を行う判断の材料にESGの観点を組み込むことを提唱しました。日本でも60以上の金融機関がESG投資の原則に署名をしており、資金調達を目指す企業にとって重視しなければならないポイントとされています。しかし、ESGには明確な基準がなく、どのように判断をするかが定められていないため、各企業のESGを評価する上で、共通の目標を有するSDGsを指標の1つとする見方が広がっています。
つまり、中小企業でも、SDGsを経営方針に盛り込むことによって、資金調達を得やすくなるといえるのです。
- 社会貢献意欲の高い、優良な顧客の共感を得ることによって、売上アップにつながる(エシカル消費)
- 製品や商品に付加価値が生まれ、価格競争を回避しやすい(企業ブランディング)
- 取引先からの信頼が高まり、良好な関係を築くことができる
(CSR調達:企業(バイヤー)が製品、資材および原料などを調達するにあたり、品質、性能、価格および納期といった従来からの項目に、環境、労働環境、人権などへの対応状況の観点から要求項目を追加することで、サプライチェーン全体で社会的責任を果たそうとする活動)
- 新たな人材の採用がしやすい
- 共通の目標を持つことによって社内に一体感が生まれ、社員のモチベーション向上につながる
特に人事・労務領域においては、「働き方改革」、多様な人材を活かす「ダイバーシティ経営」、「健康経営」や「多様な働き方」の実現がSDGsへの取り組みにつながっていくといわれています。
「SDGs」の17の目標のうち、関係の深い目標として次の4つを紹介します。
●すべての人に健康と福祉を(3番)
健康経営への取り組みが「SDGs」の達成にもつながります。この目標では、感染症以外の病気で命を失う人の割合を減らし、心の健康への対策を行うことがターゲットに据えられています。
従業員の健康管理を経営的な視点から戦略的に行う健康経営は、従業員だけでなく企業にも大きなメリットをもたらします。従業員に病気や不調が起これば、採用コストの増大や生産性の低下などで企業に損失をもたらすからです。
また、従業員の病気やメンタルヘルス面の不調を防ぐことで、これらのリスクを回避できるだけでなく、SDGsへの取り組みとなるほか企業価値および業績の向上が期待できます。
●ジェンダー平等を実現しよう(5番)
女性も男性と同様に活躍する社会を実現するために、企業にはダイバーシティの推進が求められていますが、依然として男性優位の状態が続いていることも少なくありません。
また、あらゆる差別をなくし個人の多様性を認め、活かす方向にシフトチェンジするため、セクシュアルマイノリティ、いわゆるLGBTなどにも配慮した組織づくりが急務となっています。
●働きがいも経済成長も(8番)
企業は、すべての働く人の権利を守り、安心して仕事に取り組める環境の構築や、すべての従業員に対して能力開発の機会を提供するなどして一人ひとりが働きがいを持てる労働環境を作り(ディーセント・ワーク=働きがいのある人間らしい仕事)、さらに安定した経済成長を推進しなければなりません。
●人や国の不平等をなくそう(10番)
同一労働同一賃金が法制化され、企業においては、差別のない公正な採用や公平な労働環境の実現が求められています。これまでは、育児や介護のために出世を諦めなければならない社員や、妊娠を機にキャリアが途絶えてしまった女性の姿が多く見られていましたが、今後は、社員の評価や処遇は能力と実績をもとに公正・公平に行う必要があります。また、年齢や性別、国籍の違いで処遇を変えない、差別をしない労働環境を構築しなければなりません。
これから就職する方たちには、義務教育からSDGsを学んでいる方も増え、SDGsに取り組む企業を就職・転職先候補として優先する時代も近いかもしれません。
また、私共が日常接する中小企業や小規模事業者の経営者様こそ、お客様と社会と自社とがそれぞれより良くなるという経営を強く意識されている方が多く、気付かないうちにSDGsへの貢献を事業の中で行っていらっしゃるのかもしれません。
このようにSDGsは身近なものであり、企業の発展のためもっと経営に活用すべきではないでしょうか。
SDGsをうまく身近にすれば、社会貢献だけでなく、中小企業の「ビジネスそのもの」が強くなれるはずです。
自社のビジネス戦略や経営方針を、SDGs週間を機に、いつもとは違った視点から分析してみるのも良いかもしれません。
従業員の採用・教育にお悩みの方、「働き方改革」、「ダイバーシティ経営」、「健康経営」、「多様な働き方」の実現について、ご検討の方はお気軽に当法人担当者へご相談ください。