【相談の現場から】繁忙時期の残業を減らしたい・・・
投稿日:2023.01.24
今回は現場に寄せられた質問から、繁忙時期の残業を減らす施策をご紹介します。
Q.当社では、月初と月末が忙しく月中は比較的仕事量が少ないのですが、それにより月初と月末に残業が多くなってしまいがちです。なんとか繁忙時期に発生する残業を少なくしたいのですが、良い方法はありますか?
A.ご質問の場合、変形労働時間制のうち、1か月単位の変形労働時間制の採用を検討してみてはいかがでしょう。
・1か月単位の変形労働時間制とは
1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業は44時間(以下、「または44時間」))
以内となるように、労働日及び労働日ごとの労働時間を設定することにより労働時間が特定の日に8時間を超えたり、
特定の週に40時間(または44時間)を超えたりすることが可能になる制度です。
この制度を採用する場合には、一定の事項を労使協定または就業規則で定める必要があります。
「労使協定または就業規則で定めるべき事項」
①対象労働者の範囲
②対象期間および起算日
③労働日および労働日ごとの労働時間
④労使協定の有効期限
・労働時間の計算方法
対象期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(または44時間)を超えないためには、
対象期間中の労働時間を、以下の式で計算した上限時間以下とする必要があります。
上限=1週間の労働時間(40or44)×対象期間の暦日数÷7
・割増賃金の支払い
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、割増賃金の支払いが必要な時間外労働時間は以下のとおりです。
①1日について、8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
②1週間については、40時間(または44時間)を超える時間を定めた週はその時間、
それ以外の週は40時間(または44時間)を超えて労働した時間(①で時間外労働になる時間を除く)
③対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①または②で時間外労働となる時間を除く)
・運用における注意事項
1か月単位の変形労働時間制を含む変形労働時間制を採用した場合、
就業日の始業時刻、終業時刻を就業規則または勤務割表(シフト表)にて特定する必要がありますが、
いったん指定された労働日や労働時間を変更(シフト変更)することは原則許されません。
他の社員の有給取得や欠勤対応によるシフト変更も許されないほど厳しい制度のため、運用の際には注意が必要です。