【5月の安全衛生メモ】熱中症のリスクは5月から
投稿日:2022.05.24
5月に入り、日中の気温が25℃を超える「夏日」となる日も増えてきました。
「まだ5月なのに暑い!」と感じている方もいるのではないでしょうか。
すると、この時期から心配されるのは「熱中症」です。
熱中症といえば「暑い夏の日に炎天下の中で起こるもの」というイメージですが、実は5月~6月から熱中症による搬送事例が増えてきます。
熱中症とは
「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分および塩分のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。
症状としては、めまい・失神、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・不快感・嘔吐・倦怠感、意識障害・痙攣などが現れます。
熱中症にかかりやすい気象条件としては、①急に気温が上がる日②風が弱く湿度が高い日の2つです。
5月から①②の条件となる日が増えてくるため、注意が必要です。
職場での熱中症
厚生労働省が公表した「令和3年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(令和4年1月14日時点速報値)によれば、
職場での熱中症による死亡者および休業4日以上の業務上疾病者の数は、令和3年に547人となりました。うち死亡者は20人となっています。
2017年~2021年の業種別の熱中症死傷者数をみると、建設業、次いで製造業、運送業で多く発生していました。
また、死亡者数では、建設業、次いで製造業、警備業、商業の順に多く発生していました。
入職直後で暑熱順化※1が不十分とみられる事例や、WBGT値※2の実測がなく、必要な措置が講じられていなかった事例もありました。
※1…体が暑さに慣れること。体内で作られた熱を、汗による気化熱や体の表面からの熱放散により体温を調節するサイクルをすすめることが重要。
※2…気温、湿度、輻射(放射)熱から算出される暑さの指数。運動や作業の度合いに応じた基準値が定められている。
STOP!熱中症 クールワークキャンペーン
厚生労働省は、職場における熱中症予防対策を徹底するため、5月から9月まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。
全ての職場において、基本的な熱中症予防対策を講じるよう広く呼び掛けるとともに、①初期症状の把握から緊急対応までの体制整備②暑熱順化が不足している労働者への対応③WBGT値を把握し、それに応じた適切な対策を講じることなどの徹底を図っています。
熱中症予防のためにできること
- 運動や入浴で汗をかく体を作る…汗をかける体になっていないと体内に熱が溜まりやすくなります。適度な運動やお風呂のお湯に浸かることで、汗をかく体を作りましょう。
- こまめな水分補給…のどが渇いていなくても水分をとる習慣をつけましょう。のどの渇きを感じてから大量に飲むのではなく、こまめにスポーツドリンクや塩飴などを補給するよう心がけましょう。
- 服装による体温調節…朝晩と昼の気温差が大きいことも、体温調節機能を狂わせます。体温調節のしやすい脱ぎ着しやすい服装で、熱を溜めない工夫をしましょう。
- 日常の健康管理…しっかりと食事をとり、十分な睡眠をとりましょう。多量の飲酒による二日酔い状態や朝食の未摂取、体調不良での業務は熱中症のリスクが高まります。
気象庁によると、今年の6~8月の平均気温は全国的に例年より高いと予想されています。
暑さ対策の職場環境を整えることは事業者の責務と言えますが、働く人ひとりひとりにもできる対策があります。
熱中症のリスクが更に高まる7・8月に向けて、5月から夏を乗り切る丈夫な体を作っていきましょう。
<参考リンク>
・「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」(厚生労働省HP)
・熱中症予防のための情報・資料サイト(厚生労働省HP)