【相談の現場から】社員から副業をしたいと言われました。どのようなことに気をつけて対応したらよいでしょうか?【相談の現場から】社員から副業をしたいと言われました。どのようなことに気をつけて対応したらよいでしょうか?

コロナ禍を機に副業のニーズは高まっています

内閣府の実施した調査(第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(令和3年11月))によると、「副業を実施している」が13.3、「副業に関心があるが、行っていない」が52.3で、65%以上の人が副業を実施してるか関心があるという結果が出ています。

また、令和2年12月に行われた同様の調査では「副業を実施中」とした人が11.6%だったことから、実際に副業を実施し始める人も徐々に増えていることが分かります。

副業は今や特別なことではなく、当たり前の働き方の一つとして受け止められつつあるといえるでしょう。

とはいえ、労務管理の立場から、むやみに副業を認めることはトラブルの元になる懸念があります。
現状副業を禁止する就業規則がない場合、社内制度・就業規則をきちんと整え、周知してから認めるようにしましょう。

 

副業を認めるうえでの注意事項

  • 副業に係る就業時間の管理・健康管理の取り扱い

本業と副業の就業時間は通算されますので、副業も含めた労働時間管理が必要となります。1日の所定労働時間を超えて働けば、割増賃金の対象となります。ただし、割増賃金を支払うのは後から雇用契約を結んだ方になるため、通常副業先が割増賃金を支払うことになります。

しかし、労働時間が通算されるのは副業先に雇用されている場合のみです。そのため、労働時間の管理を受けない個人事業主や委託契約などは対象になりません。

また、副業に従事する労働時間の把握は、労働者の申告によるものでよいとされています。

複数の仕事をかけ持つことは長時間労働につながりやすく、健康を害する恐れもあります。

健康障害を予防する観点からも、自社での業務と副業先での業務との兼ね合いの中で適切な措置を講じることができるよう、会社側で副業の状況を把握できる環境を整えましょう。

 

  • 秘密保持義務・競業避止義務への懸念

副業は、企業にとって「社員の自律性の促進」「優秀な人材の流出防止」「社外からの新たな情報・事業機会の拡大」などのメリットが考えられます。

それと同時に、労働者の「職務専念義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」をいかに確保するかという懸念への対応も必要となってきます。

副業開始前に、これらの義務について労働者と書面にて取り交わした方がいいでしょう。

 

「現状の就業規則には副業に関する規定がない!」ことは多くあります

「実は社員がこっそり副業していた」「把握していない副業先で労災が発生した」など、起こりうるトラブルを未然に防ぐためにも、就業規則を見直してみてはいかがでしょうか。

 

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