【Topics】10月は高齢者就業支援月間です。
投稿日:2021.10.04
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、毎年10月を「高年齢者就業支援月間」とし、事業主のみならず、広く高齢者の雇用問題についての理解と協力を要請するため、厚生労働省等と協力して、さまざまな啓発活動を展開しています。
令和3年度は「高年齢者雇用安定法改正 70歳までの就業機会実現のために」をテーマに、10月~11月に全国5都市(岩手、東京、岐阜、大阪、宮崎)の会場で開催されます。
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事業主における70歳までの就業機会の確保の努力義務化
本年4月1日に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)において、70歳までの就業確保措置を講じることが努力義務となりました。※定年の70歳への引上げが義務付けられるものではありません。
高齢者就業支援月間を機に、今回の改正内容を再確認しておきましょう。
高年齢者雇用安定法とは
高年齢者雇用安定法とは、急速な少子高齢化の進行に対応するため、高年齢者が少なくとも年金受給開始年齢までは意欲と能力に応じて働き続けられる環境の整備を目的とした法律です。
今回の改正は、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設けるものとされています。
対象企業
- 定年を65歳以上70歳未満に定めている企業
- 65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を導入している場合を除く)を導入している企業
講ずべき対応
対象企業は次の措置のうち、いずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努めなければなりません。
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制度の廃止
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
特殊関係事業主に加え、ほかの企業によるものも含む - 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入(※過半数労働組合等の同意を得て導入する必要があります)
- 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入(※過半数労働組合等の同意を得て導入する必要があります)
a.企業が自ら実施する社会貢献事業
b.企業が委託、出資(資本提供)等をおこなう団体がおこなう社会貢献事業
留意点
その他、70歳未満で退職する高年齢者への対応が次の通り義務づけられています。
- 再就職援助措置を講ずる努力義務
- 多数離職届出の義務
- 高年齢者雇用状況報告
定年や事業主都合により離職する高年齢者等について、企業は再就職援助措置を講ずる努力義務および多数離職届出の提出をおこなわなければなりません。また、「定年および継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」についても、年に一度企業から国に報告する義務があります。
具体的な対応
- 賃金・人事制度の見直し
70歳就業確保努力義務への対応のひとつが、再雇用される高年齢者の賃金・人事制度の見直しです。
再雇用契約の際、労働条件を新たに設定できますが、条件面での折り合いがつかず、トラブルに繋がるケースもあります。
また、同一労働同一賃金の制度化により、不合理な条件変更は大きなリスクとなります。
契約をおこなう際は、対象となる労働者に対して、合意ができるよう十分な話し合いが必要です。
- 関連する助成金
高齢者の就業確保を行うと、次のような助成金が受けられる可能性があります。定年制度、賃金制度等の見直しと合わせて活用されるとよいでしょう。
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65歳超雇用推進助成金
65歳超継続雇用促進コース※申請受付は令和3年9月24日をもって受付停止
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
高年齢者無期雇用転換コース
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特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)