【10月1日は「コーヒーの日」】コーヒーブレイクから休憩について考える
投稿日:2021.10.01
10月はコーヒーが美味しくなる季節です。
国際協定によって、コーヒーの新年度が始まるのが10月で、この日がコーヒーの年度始めとなります。日本では、秋冬期にコーヒーの需要が高くなることから、1983年に、全日本コーヒー協会によって、10月1日が「コーヒーの日」と定められました。
また、2014年3月開催の国際コーヒー機関(ICO)理事会において、2015年から10月1日を「 International Coffee Day 」に定めることとされ、イタリア国ミラノで開催されたICO第115回理事会(2015年9月28日~10月2日)の期間に合わせ、ミラノ万博会場からスタートしました。
さてみなさん、一人当たりのコーヒー消費量が世界一と言われる国はどこかご存じでしょうか。
近年、SDGs、幸福度ランキング、サウナやおしゃれなインテリア雑貨のブランドなどで注目が高まっている、北欧の国フィンランドだそうです。(諸説あります)
フィンランドでコーヒーを習慣的に飲む人の平均的な消費量は1日に約3杯。5~9杯飲む人も結構いるんだそうです。
そのフィンランドの働き方で有名なのが、コーヒー休憩の制度です。
フィンランドでは、食事の休憩の他にコーヒー休憩を必ず設けるように法律で定められています。
6時間以上勤務の場合、労働条件として15分のコーヒー休憩を1日に2回(4時間以下ならコーヒー休憩はなし。4~6時間の労働ならコーヒー休憩1回)以上とされています。
さすがはコーヒー大国の法律と驚かれるかもしれませんが、こういったコーヒー休憩に限らず、毎日休憩なしで高いパフォーマンスを発揮し続けられる人はいません。
日本でも、労働基準法には休憩時間について規定があり、第34条において、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定められています。
過重労働の規制の強化や、労働生産性の向上が叫ばれて久しい昨今です。
勤務に必要な休憩時間を与えていなかった場合や、休憩時間とされているにもかかわらず、合間に書類作成をするなど労働から解放させていなかった場合には、労基署が休憩時間の違反を指摘する可能性もあります。
従業員のやる気や気力・体力を維持しつつ、トラブルを予防できるよう、休憩の与え方についても確認しておきましょう。
休憩の定義(原則)
1.休憩時間は、「労働時間の途中に与えなければならない」(労基法第34条第1項) |
2.休憩時間は、「一斉に与えなければならない。」(労基法第34条第2項本文) |
3.使用者は休憩時間を、「自由に利用させなければならない。」(労基法第34条第3項) |
1.休憩時間は、「労働時間の途中に与えなければならない」(労基法第34条第1項)
休憩時間とは、あくまでも働いている間に休める時間のことなので、「出社前に1時間の休憩時間を取る」という就業規則を作ったとしても、朝8時から1時間の休憩を設け、9時から17時まで休憩なしで働かせるといったことはできません。同様に、「終業時間後に休憩をさせる」といった対応もできません。
なお、必ず正午から休憩時間を与えなければならないというように休憩を与える時間帯は決まっていません。また、休憩時間は、まとめて与えることも、分けて与えることもできます。
2.休憩時間は、「一斉に与えなければならない。」(労基法第34条第2項本文)
休憩時間を一斉に付与する範囲は、作業場単位ではなく、事業場単位です。
事業場とは、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く、一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体」をいいます(昭和22年9月13日基発17号)。そのため、例えば、工場がこれに該当することがあります。他方、作業場は、事業場の中にあるそれぞれの場所です。
<例外>
①労使協定を締結した場合(労基法第34条第2項ただし書、労基則第15条)
労使協定がある場合には、休憩を一斉に付与する必要はなく、交互に付与することができます。
②特定の業種(労基法第40条、労基則第31条)
運輸交通業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・電気通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業では、休憩時間を一斉に付与する必要はなく、交替休憩をすることができるとされています。
3.使用者は休憩時間を、「自由に利用させなければならない。」(労基法第34条第3項)
たとえば、休憩中でも来客に対応する必要があったり、電話などに備えてオフィス内で食事を取ることを指示していたりする場合は、休憩ではなく労働時間という扱いになります。上司や管理者が「オフィスにいるように」「誰か1人は残っていてほしい」といった明確な指示をしていなくても、暗黙の了解で労働させていれば休憩時間にはなりません。
ただし、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害わない限り差し支えない」とされ(昭和22年9月13日基発第17号)、休憩時間中の外出許可制について、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならないとしています(昭和23年10月30日基発第1575号)。
休憩時間等の労働時間管理は会社にとって必要不可欠なものです。
万が一、休憩時間中の拘束に対して従業員から給与支払いの訴えを起こされた場合、高額未払い給与の支払いからは逃れられません。休憩の扱い方を間違って運用している場合は、早めに是正に取り組みましょう。
また、フィンランド並みとはいかなくても、効果的な休憩やリフレッシュタイムを設けることは、労働者の健康維持や職場のコミュニケーションの活性化に役立つと言われています。法を上回る働きやすさを目指すことは、優秀な人材確保にもつながります。独自の制度を検討されても良いかもしれません。
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